文献調査
戸籍で知ることのできる、最古のご先祖様に辿りついたとして、そのご先祖様はどのように暮らしていたのでしょうか?
戸籍には、当時の地名が書かれているので、その地名を手掛かりに、当時の暮らしぶりを追いかけるのが文献調査の目的です。しかし、その地名は現在存在しないかもしれず、まずは地域を特定することから始めなくてはなりません。
それでも、ある程度の地域の絞り込みには、それほど労を要しないでしょう。当時の地名が現在のどの都道府県になり、どの地域であるかは、インターネット等を使っても調べることが可能だからです。地域の絞り込みを終えたら、文献がないか探してみます。
大きな図書館に行けば、必ず地方史が蔵書としてあるものです。保存の観点から、一般の貸し出しは行っておらず、複写も禁じられているかもしれないので確実ではないですが、図書館の司書に協力を仰ぎ、該当する地域の文献がないか聞いてみるのも1つの手です。図書館は全国ネットワークなので、遠隔地の図書館から文献を取り寄せることも可能です。上手に利用して、できるだけ多くの文献に触れるようにしましょう。
また、郷土の歴史は、郷土資料館や自治体等に保管されている可能性もあります。もし無ければ無駄骨とはいえ、より詳しい情報が得られる可能性も高く見逃せません。地域で活動している郷土史会があると、専門家に辿りつける可能性すらあります。
他にも、苗字や家紋などからご先祖様の出身がわかるケースもあります。例えば、○○地方の××という苗字は、どの時代の何家から分かれて興り、家紋は△△であるというようなケースです。こうした情報は、歴史的な資料ではなく、専門書として発行されているので、併せて苗字辞典、家紋辞典なども調べておくと役に立ちます。
文献調査を進めていくと、やがて古文書と呼ばれる、古い文献の存在に行き当たるかもしれません。中でも、分限帳や宗門人別改帳は、今で言うところの戸籍や名簿に相当するもので、古文書の中にご先祖様の名前を見つけることができれば、さらにご先祖様を辿ることも可能です。
しかし、史料が古くなればなるほど、現代の言葉とかけ離れていくため、古い情報を正確に読み取るためには、くずし字を読み取れる力も必要です。印刷技術の無い時代は、毛筆で書いてあるのが当たり前なので、かなり「達筆な」文字になり、読めなければ大切な情報を見落とす可能性もあります。最低でもご先祖様の氏名や地名など、関係が深い言葉については、くずし字でも読めるようにしておきましょう。
もう1つ非常に有力な史料として、過去帳と呼ばれる、菩提寺で管理された記録の綴りが存在します。過去帳の存在は、檀家の記録でもあり、代々の亡くなった方の記録が残されています。
代々のご先祖様が、菩提寺を同じにしているなら、過去帳を見ればどこかに記されているはずで、親子関係も判明するかもしれません。したがって、ご先祖様を深く追うには、過去帳の閲覧こそ最重要といっても過言ではない代わりに、過去帳の閲覧には高いハードルがあります。
菩提寺の運営方針次第では、檀家でも非公開になっていることがあるくらいで、いきなり付き合いも無い遠縁の人が見せてくれと言っても、応じてくれる可能性は極めて低いでしょう。ましてや、その菩提寺がどこであるかを知るためには、それまでの文献調査で地域を絞り込み、周辺のお寺を1つ1つ当たってみるしかないのです。
運良くご先祖様が菩提寺にしていたお寺が見つかり、過去帳を見せてもらえるとしても、過去帳を貸してもらう事など不可能ですから、自分で現地を訪れ見せてもらうことになります。
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